2014年9月15日月曜日

生活保護の住宅扶助基準の引き下げについて元ホームレスが思うこと

昨年の夏頃から生活保護費内の「生活扶助基準」の引き下げが始まっています。

生活保護費は通常、「住宅扶助」+「生活扶助」で支給されます。

「住宅扶助」・・・簡単に言えば家賃代です。地域によって金額が設定されています。
          ちなみに僕の場合は毎月42,000円程でした。

「生活扶助」・・・簡単に言えば家賃以外に必要な生活費の為のお金です。
          これも地域によって金額の差があると思います。
          ちなみに僕の場合は毎月80,000円程度が上限だったと思います。

通常、「住宅扶助」+「生活扶助」で大体12万円前後になるのが平均だと役所からは聞きました。

昨年の夏から、家賃以外の支払いに必要な「生活扶助」の引き下げが始まってるんですね。

そしてどうやら、家賃支払いに充当する「住宅扶助」の引き下げも検討されているそうです。


住宅政策という「パンドラの箱」を開けよう!(ハフィントン・ポストというサイトの記事です)

この記事に詳しいのですが、

今年の七月、厚生労働省が「生活保護受給世帯の居住実態に関する調査」を実施したそうです。

生活保護を受給すると定期的に役所のケースワーカーが家庭訪問をするのですが、

その際、家賃・面積・設備等、住宅の状況を調査し「近隣同種の住宅等の家賃額と比較して、

明らかに高額な家賃が設定されている」という疑いがあるかどうかについても調べているとの事。

こうした調査が始まる背景には、

生活保護受給者が割高なアパート等に入居しているケースが多いという事が挙げられます。

少し、上記の記事から引用させてもらいます。

>本来、住宅に困窮している人たちのためにある制度が公営住宅です。
>しかし近年、各地の自治体は財政難を口実に公的住宅の数を抑制・削減してきました。
>東京でも1999年以降、都営住宅が増えていません。
>そうした中、ほとんどの生活保護利用者は民間のアパートを借りざるをえません。
>ところが、日本の民間賃貸住宅市場では、高齢者、障がい者、失業者、
>ひとり親家庭などに対する入居差別が蔓延しており、
>こうした人々が多い生活保護利用者はなかなか部屋を借りることができません。
>そのため、住宅扶助基準の上限額を払って、
>ようやく貸してくれるところを確保するという状況が広がっているのです。
>地域によっては、上限額を払っても貸してくれるところがないため、
>「管理費」や「共益費」の名目で数千円を上乗せして、部屋を借りている人もたくさんいます。

どういう事かと言うと、生活保護を受給している・しなければならない人というのは、

様々な問題を抱えています。

病気・精神疾患・無職・親族がいないetc...

そういった問題のある人に部屋を喜んで貸してくれるオーナーさんて少ないんですよね。

僕もかなり苦労しました。

何軒も賃貸仲介業者さんを回ったのですが、

「生活保護を受給する予定」+「保証人がいない」この2点で住める家がかなり絞られます。

正に上記の記事通り、住宅扶助費の上限以上の家賃が設定されているアパートに入居しました。

僕の住んでいるアパートの家賃は、本当は55,000円です。

ですが、住宅扶助(僕の場合は42,000円程)以上の家賃のアパートは役所が認めません。

そこで、「実際の家賃」から「住宅扶助の金額」を引いた約13,000円を、

敷金・礼金・管理費・共益費等に分散してもらうのです。

生活保護受給者が部屋を探す際、家賃は住宅扶助の上限に納めないといけませんが、

敷金・礼金・管理費・共益費等は特に明確な基準値が無いのです。

もちろん、あまりにも高ければ役所から止められるでしょうけども。

生活保護費の内訳は、「住宅扶助」+「生活扶助」です。

僕の場合、住宅扶助の42,000円+生活扶助から13,000円を家賃代として払っていた訳になります。

そうなると、実質生活に使えるお金は月々67,000円程度。

そこから光熱費・ガス代・通信費・食費を支払っていき、

さらに就活に必要な費用も捻出しなければなりませんでした。


もちろん、アパートのオーナー様もお仕事なので、

不安要素の多い人には部屋を貸したくないというのも分かりますが、

「生活保護受給者が割高なアパートに住んでいる確率が高い」という表面だけを見て、

「もっと安い所に住め!」と住宅扶助基準の引き下げに進むと更に色々な問題を生むのでは?


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