2012年7月6日金曜日

「苦役列車」を読んだ


7月14日から公開される、「苦役列車」。

この映画が観たくて、昨日原作を買ってきて、先ほど読み終わった。

去年、芥川賞を受賞したらしいのだけれど、

去年といえば僕は一年の半分がホームレスだったので、

話題になった事とか全然知らなかった。

(参考リンク:映画「苦役列車」公式サイト
↑を見る限りだと、ちょっと明るいタッチの映画になっているのかな。
(参考リンク:新潮社「苦役列車」


とりあえず読んでみたんだけど、ひたすらリアル。

私小説という事で、著者の若い頃の話がベースになっているのだろうと思う。


主人公は中卒の19歳の日雇い労働者。

三畳のボロアパートに住み、港にある冷凍倉庫で働き、日当をもらっては酒を飲み、

風俗に行き、部屋で自慰行為をし、ラジオを聴きながら薄いタオルケットの上で眠る。

食欲と性欲は人並みにあるので、日当をもらっては無計画に使い、

手持ちのお金が職場への交通費程度になったらまた日雇い労働に行く。

いつも同じ服を着て、家賃滞納→夜逃げを繰り返し、友達も恋人もいない。


非常に自堕落な生活をしているが、コンプレックスの塊で、プライドも変に高い。

こういう人をここ1年くらい派遣労働の現場でよく見た。

未来の明るい大学生を「親のすねかじり」とバカにし、

毎日同じ服を着て死んだ目で働く。

日当をもらったら、パチンコ・酒に使い、手持ちが無くなるまでは働かない。

自分たちが格差社会の底辺にいる事が分かっているけど、

変にプライドが高い為、卑屈な態度を取り続ける。

そして、下品で幼稚。

この小説の主人公も下品で幼稚だ。

恐らく悪気は無いのだろうと思う。

社会経験が乏しいのか、人と関わり合った事が少ないからか、理由は分からないが、

派遣労働者には幼稚な人が多い。

悪気は無いのだろうけど、身勝手で、相手の事を考えず、現実をあまり知らない。

そして、下品。

僕もあまり品のあるタイプの人間では無いけども・・・


僕は高校を卒業してすぐにサラリーマンになったのだけど、

「自立して朝から晩まで毎日働いている」という事でアイデンティティを保っていた気がする。

大学生や専門学生が本当は羨ましいくせに、

羨ましがってない素振りをし、

唯一自分が学生達より上に立てる、「働いて収入がある」という事実を振りかざしていた。

何年か経てば同い年のほとんどの学生が自分より上の立場になる。

その事実から少しの間でも逃れたかったのかもしれない。


生まれながらの格差というのは確かにある。

低所得世帯で育ったり、親が頭おかしかったり。

この作品の主人公も「ワケあり」だ。

中卒で働いているにはそれなりに理由がある。

お金の使い方が幼稚なのにも理由がある。

人の気持が分からず、人との付き合い方が分からないのにも理由がある。

それが僕も分かるからこそ、非常に痛々しく感じてしまいました。


この小説では、

派遣労働者の下品で幼稚な面が上手く書かれていて、

でもそれだけではなく、乾いた明るさみたいなのが漂っている。

途中、自分とダブらせてしまい、

リアル過ぎて読んでいて辛くなる部分も多数あったけど、

不思議とスラスラ読める小説でした。


映画はまた違った雰囲気なのかもしれないけど、

公開されたら観に行ってみようと思います。

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